材質:SWP-B(SWRS)
線径:3.0mm

こちらの逸品は、引張バネとトーションバネの機能を合わせたようなバネで、突起部分の加工に特徴があります。

引張バネとトーションバネを合わせたバネ

引張バネとトーションバネを合わせたバネ

自動機でコイリングを行った後、巻き終わり部分の線材を直線にし、その後手加工で突起部分を曲げていきます。複雑な加工を低コストで実現しています。しかし、バネに詳しい方からすると「コイル材の巻き癖を直線にする過程は残留応力のせいで強度が下がるのでは?」と思われることでしょう。もちろん可能な限り熱処理によって残留応力を除去するのですが、どうしても強度の低下は否めません。ですので、この曲げ部分をフックとして引っ張る等で利用する場合はフック部分に荷重が集中するため耐久性の面からこの方法は採用できず、もっとコストのかかる加工を行う必要があります。
しかし今回は仕様上トーションバネとしてフック部分が横から荷重がかかる使用環境とのことで、残留応力による強度低下も耐久面に影響せず。耐久試験もクリア。こちらのコスト重視の加工方法を採用するに至っています。

バネの性質を正確に把握していることで、この箇所は少々強度が落ちても問題ないという判断ができ、加工の幅が広がります。難加工でお悩みの方は一度岩津発条にお気軽にご相談くださいませ。

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