材質:SUS304-WPB
線径:1.8mm
コイル外径: 64mm
自由高さ:16mm
有効巻き数:1.25

D/d≒35、有効巻き数1.25の特殊コイル

こちらのバネは4つの難加工ポイントが存在する特殊仕様のコイルです。
見る人が見れば一目でわかる(はず)、バネ屋の技術の結晶が詰まった逸品です。

難加工ポイント1 D/dが大きい

D/d≒35、有効巻き数1.25の特殊コイル

逸品シリーズでもおなじみとなりますが、D/dが極端に大きい(あるいは小さい)バネは、自動機を使用すると公差が安定しないため、専用の芯金を作成し、職人の手により外径コントロールを行いました。自由高さをコントロールするため、コイルの高さを指定よりやや低めに巻き、芯取りによって高さを出すところもポイントです。しかしこれはまだ序の口です。

難加工ポイント2 座巻きの端を点で密着させる

D/d≒35、有効巻き数1.25の特殊コイル

密着させるだけであればよいのですが、自由高さの指定に合わせるため座巻きを研磨するする必要がありました。ステンレスという素材は研磨をすると密着しにくい性質を持っているため、バネを巻き上げた段階で材料を設計より長めに密着させておき、研磨によって密着性が弱まったところでちょうど1点で密着するように調整を行いました。

難加工ポイント3 その研磨も難しい

D/d≒35、有効巻き数1.25の特殊コイル

ステンレスは熱で膨張します。つまり研磨の際に発生する熱によってあらゆる精度がばらつく可能性があります。バネを巻き上げる段階であらかじめ熱による膨張も見越しておくのは当然ですが、研磨も職人の手で行うため、熱処理のように確実に一定の熱を加えられるわけではないので、かなりデリケートな作業を要しました。

難加工ポイント4 有効巻き数の指定が厳しい

D/d≒35、有効巻き数1.25の特殊コイル

有効巻き数の指定は1.25でした。しかし、バネ業界において、荷重管理が可能な有効巻き数は少なくとも3以上必要です。つまり要求される荷重に対して、あらかじめ設計を行うことが不可能なので、とりあえず作っては荷重テスト、また修正を行って荷重テスト、の繰り返しで設計を行いながら指定の値に近づけていきました。

このように職人の技術と情熱を注ぎ、お客様の要求を満たすバネをつくることが岩津発条の使命です。バネの難加工のことならお気軽にご相談くださいませ。

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